バイノーラル録音

知ってる人も多いとは思いますが、人をかたどった特殊なマイクを使う、アレです。

弊社だと特典CDによく使わせてもらっています。
バイノーラルで録音をすると、
話している相手との距離や、位置が録音した声でもわかるぐらいリアルに聞こえるという代物。
とても素晴らしい技術です。

じゃあ、どうしてこの録音方法をゲーム本編まで使わないのか、
という疑問もあるかもしれません。
ここら辺は、主観やそれぞれの事情もあるとは思いますが、
ひとまず思ったことをつらつらと。

1・収録スタジオによっては予算がかさむ。
  前述のとおり、特殊なマイクですので、大変高価。
  どこのスタジオにも必ずある、という物ではありません。
  もしない場合は、レンタルとなります。
  そうすると、レンタル料が当然上乗せされます。

2・時間がかかる
  バイノーラルの凄いところは、話している相手の場所が声を通して感じられること。
  逆に言うと、録音する際にその位置に立ってもらわなければなりません。
  となると当然、声優さんにあっちこっち動いてもらう必要があるので、
  大変時間がかかります。

3・体力も必要
  2の時間と同じ理由で、声優さんにも体力が必要です。
  休憩なども多く必要になるでしょうから、そういう面でも、
  必要な時間が多くなります。

4・マイクが大変優秀
  マイクが優秀なのはいいんですが、優秀すぎて
  マイクの感度がかなりいいんです。
  そのため、リップノイズとかが普通の収録で使うマイクよりも乗りやすい。
  そうなるとリテイクも増えたりします。

5・本編の半分以上のシーンでは、あまり意味がない。
  弊社のようなAVGの場合ですが、
  結構日常シーンが多いです。
  日常シーンの場合、相手は基本正面に立って、普通に会話する程度です。
  これだと、バイノーラルの意味ってなくないですか?

  複数キャラで喋る場合、右や左や、という違うが生まれるかもしれませんが、
  それならバイノーラルではなく、ステレオでもいけます。

  バイノーラルの基本は、右から聞こえたり、 左から聞こえたり、囁かれてる気分になったり、
  という多彩な変化に有ります。
  ですが日常シーンでそんなにあっちこっち動かれると、落ち着かない人も多いと思います。

6・イベントCGとの差
  収録する際に、イベントCGの互いの体勢がキッチリ決まっている必要が生まれます。
  結構辛いです、これ。


ええーっと……ひとまず思いつくのはこんなものでしょうか?
ああ、あとそうだ。

7・記号的要素が薄くなってしまう
  上手く説明できないんですけど、ゲームって背景+立ち絵という、
  記号的な要素でなりたってますよね。
  で、立ち絵もちょこちょこ動いたり、表情変えたりという演出が入るわけですが、
  そこに、距離感や立ち位置がリアルな音源が入ると、
  視覚的な演出と、音の演出で、結構チグハグになります。

  視覚的にはゲームだからと割り切れるけど、音が妙にリアルで差が大きくなるというか…
  
  上手く言えませんけど、そんな感じです。
  要は、バイノーラルを一番楽しめるのは、耳に集中して
  相手の動きを脳内で補完、妄想するのが一番じゃないかってことです。


以上かな?
こんな感じで、おそらく今の立ち絵演出では、
バイノーラルの導入はないんじゃないかなーと思います。
思ったよりも長くなったので、ここら辺で。

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